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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

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2022年10月23日(日)に第585回月例会(香美市香北町大束大荒ノ滝)が21名の参加で行われました。

2022年10月23日(日)に第585回月例会(香美市香北町大束大荒ノ滝)が21名の参加で行われました。

 9時香美市土佐山田町宮ノ口の鏡野公園に20名が集合。すでにゲートボールを楽しんでいる人の姿が見える。本日のコースの説明後ただちに15台の車と1台のバイクを連ねて出発。途中,車を杉田ダム畔に置く人がいなかったので,そのまま国道195号線を北上し,香美市香北町美良布のアンパンマンミュージアムを過ぎて香北町小川の新在所橋を渡り,物部川の右岸側を北上する。梅久保から久保川沿いの林道に入り,集落を抜けて植林地の中を行き,御在所山の登山口にあたる大屋敷の茶屋でトイレ休憩。紅葉の時期にはまだ早いので他の車は無い。さらに久保川遡り,10時10分頃に岩屋の滝の入り口駐車場に到着。大荒ノ滝駐車場で待ち合わせていた草野さんと合流し,岩屋の滝入り口からごろごろと石が転がっている植林の中の急斜面を登りながら観察を始める。
 このあたりの標高は約500mなので,紅葉にはまだ早いが,それでもシラキの葉などがやや色を帯びてきている。ノリウツギの花がまだ残り,シロヨメナは花,コゴメスゲ,アシボソ,ケチヂミザサなどに穂が出ている。林内には植えたものなのか「コマユミ」,「シモツケ」?などと無造作にラベルが立てられている。滝壺の手前の朱色に塗られた橋に10時30分に到着。二筋の滝が合流した滝の水しぶきがかかる滝壺付近の岩場には真っ白にウチワダイモンジソウの花が真っ盛りで,めいめい滝をバックに撮影に余念がない。岩上のコケの中にはシコクチャルメルソウやヒメウワバミソウ,アワゴケ,ミズタビラコ,セキショウなどが群生し,岩壁にはケイビランやイワタバコ,少し花が終わりかけたホトトギスなどが見られ,滝に近いしぶきのかかる岩壁にはウチワダイモンジソウが群生して咲いている。滝壺は透明で美しい。
 しばらく滝壺周辺を観察して,10時50分頃に「大荒ノ滝へ700m」と書かれた道標を横道へと進む。道は全く荒れていて,通行止めの標識が出ている。石を蹴落とさないように細心の注意を払いながらのろのろと歩を進める。林床にイナモリソウが見られ,ガラガラの斜面はツクバネガシやヤブツバキ,サカキ,ユズリハ,モチツツジなどの常緑樹にツガ,モミなどの針葉樹をまじえ,コナラ,ケヤキ,クマシデ,ムラサキシキブ,イロハモミジ,イタヤカエデ,コハウチワカエデなどのカエデ類が多く見られ,斜面にはイボタノキやバイカアマチャ,ウラジロウツギなども見られる。
 11時30分,「岩屋滝530m」「大荒ノ滝270m」「帰り道」の標柱からは岩場を登り,11時50分に大荒の滝下の朱色の橋に到着。コウヤボウキに花,ツルニガクサ,イヌトウバナ,エゴマ,トチバニンジン,ナベワリ,ヤマルリソウなどが岩場周辺に生え,急傾斜の岩場にはヤマグルマ,ヤマハンノキなどが見られる。コケむした岩場にはハコネシダやアオホラゴケ,ジュウモンジシダ,マルバマンネングサ,オオバチドメなどが生えている。
 12時10分頃に大荒ノ滝に到着。滝壺下の岩場や滝を望むベンチなどでめいめい昼食をとる。見上げると青い空に白い雲が流れ,滝の上部の方の岩場には黄色や赤く色づき始めた木々が見える。それらが生える大きく切れ込んだ岩間から豪快に滝が流れ落ちまさに絶景である。
 滝下の岩場にはやはりウチワダイモンジソウやジンジソウの花が咲きそろい,滝の傍らの岩場ではオタカラコウやギョウジャアザミ,オオマルバノテンニンソウの花やオウレンシダ,メヤブソテツ,オバノハチジョウシダ,ミズタビラコ,アワゴケ,イワボタン,イワセントウソウ,ヒメウワバミソウ,ヤマトグサなどが群生している。
 12時30分頃に第3駐車場に向けて三々五々出発。アオガシやサカキ,ツガ,イヌシデなどの林の道を林道に向けて上がる。林床にはウメガサソウの実,コウヤボウキの花,ヒメミヤマスミレ,シュンランなどが見られた。
 林道に出ると,ナギナタコウジュの花や紅葉し始めたヤナギタデなどが群生し,シモバシラやツルグミ,シロヨメナの花やイイギリやヤブイバラ,ケケンポナシ,シロダモ,ガマズミの実,サンカクヅルの紅葉などを見ながら林道を下った。案内図にはこの道は山野草ロードと名付けられていた。展望台から今見てきた二つの滝が見下ろせる。この辺りは伐採した跡で,カラスザンショウやゴンズイなどとともにセンダンが多いのだが,よく見るとセンダンの下部をネットで被っているので,ひょっとすると植林かもしれない。林縁にノササゲの黄色い花と紫色に発色した豆果がたくさん垂れ下がって結構美しい。大荒ノ滝駐車場近くで,谷側に虫こぶがたくさんできているイスノキと山側に珍しいイソノキが生えていた。説明するのに口に出すと発音によっては紛らわしい。
 14時30分頃に塩屋滝駐車場に到着し次回案内と忘年会の案内とをして解散した。〔鴻上泰〕
ノササゲ
ノササゲ
コウヤボウキ
コウヤボウキ
塩屋滝とウチワダイモンジソウ
塩屋滝とウチワダイモンジソウ
塩屋滝での観察
塩屋滝での観察
塩屋滝での観察
塩屋滝での観察
大荒ノ滝付近で観察
大荒ノ滝付近で観察
ナギナタコウジュ
ナギナタコウジュ
大荒ノ滝とウチワダイモンジソウ
大荒ノ滝とウチワダイモンジソウ
大荒ノ滝
大荒ノ滝
シモバシラ
シモバシラ
ホトトギス
ホトトギス