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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

<お問い合わせ先>
TEL:090-7622-1257

2021年12月5日(日)~6日(月)に第575回月例会(須崎市安和海岸,中土佐町上ノ加江加江崎灘山,中土佐町上ノ加江山内新道山林道)が20名の参加で行われました。

12月5日
 10時に道の駅「かわうその里すさき」に集合。日程およびコース等の説明後,めいめいが車で出発。国道56号線を南下,安和駅を過ぎて昨年は工事通行止めで通れなかった県道久礼須崎線の海岸線に入る。天候も良くこのころの海岸線の道はノジギクやタイキンギクが咲いていて気持ちが良い。車列が長いので駐車場所に迷ったが,10時20分頃中崎付近に分散駐車し付近を観察した。ノジギク,タイキンギク,ツワブキ,アゼトウナ,テリハノイバラ,ウスベニニガナに花が咲いており,ヤブラン,シマサルナシ,タンキリマメなどに実がついていてなかなか華やかである。マサキ,トベラ,ハマヒサカキ,シャリンバイ,ホルトノキなど海岸に常駐する樹木とともに,カゴノキやイスノキが結構多い。中崎の崖下断がいではノジギクやアゼトウナがお花畑を形成している。キダチニンドウ,ホウライカズラ,サカキカズラ,オオツヅラフジなどのつる植物も多く,キジョランにも花が咲いていた。
 昼になったので,さらに県道を中土佐町方面に移動し,昨年観察した青木崎を通過して12時15分頃に双名島の駐車場着。車を停めて大野の海岸で昼食。サーファーが数人波に漂っていたが,波もなく穏やかで上手く乗れている人はいなかった。堤防の上下でめいめいがお弁当を開いていると,上空ではトビが旋回していた。
 13時頃に大野海岸を出発し,大野トンネルを経由して久礼の街を抜け,上ノ加江に向かった。
 13時40分に加江崎池の広場に駐車して付近を観察しながら,加江崎自然林(灘山国有林)の遊歩道へ向かった。アカメガシワの枝にからまったセンニンソウにまだ白い花が咲いている。ツワブキやノイバラに花,シロダモには花と赤い実がついていた。遊歩道入り口付近には簡易トイレも構えてあり,切り開いてベンチらしきものも作られている。切り開かれた広場にはヒロハフウリンホオズキの花実やハナタデ,ウスベニニガナ,コナスビなどに花が咲いている。堤防の外側ではノジギク,アゼトウナが満開,実をつけたハマボッスの枯れた株がたくさん立っていた。加江崎自然林は典型的な暖温帯林で,スダジイ,タブノキ,ヤブツバキ,コバンモチ,タイミンタチバナ,カンザブロウノキ,ヤマビワ,トキワガキなどがほぼ自然状態で残されており,林縁にキダチニンドウやサカキカズラが絡まり,林床は暗く,カツモウイノデやイシカグマ,ヒメアリドオシ,イズセンリョウなどがまばらに生えている。この遊歩道は津波避難路にもなっているようだが,道は荒れていて避難は難しそうだ。尾根に雲井城跡があるということでトライしてみたが,なかなか急斜面なので途中であきらめたところ,青木さんや中平さんらが先行していて,執念で城跡まで行ってきたということであった。
 15時40分に加江崎を後にして久礼に戻り,16時過ぎに本日の宿である黒潮本陣に到着。3棟のコテージに分かれ,夜は18時から本館で忘年会。昨年はGOTOキャンペーンで,本年は高知県トク割キャンペーンと黒潮本陣のキャンペーンとあわせて格安で宿泊できた。18時からの食事はとても豪華で,特に焼きたてのカツオのたたきは久礼ならではの新鮮さで絶品であった。
12月6日
 9時に宿を出発。すぐ下の「道の駅なかとさ」で事前に注文してあったお弁当を受け取り,本日参加の会員と合流して上ノ加江に向かった。
 10時すぎに新道山林道入り口に着き,ここで車を4台に減らして林道奥のゲートから観察を開始。昨年はこのゲートまで観察をしており,今年はそこから奥を目指すことにした。林道は奥で施業しているのかよく整備されて通りやすい。観察はシダと樹木主体となるが結構種類は多い。ツブラジイ,サカキ,アオガシ,リンボク,コバンモチ,アセビ,カナメモチなどに黄葉しかかっているズイナやシロバイが目立つ。クサギやフユイチ,ヤブムラサキ,ツルコウジの実や,やや珍しいジュズネノキにも赤い実が実っている。カツモウイノデやタマシダも見られる。左手の谷川はシダ的な環境で,宇賀氏が降りて探索している。林道ののり面は切り石が整然と積まれており,森林軌道の跡と思われる。イズセンリョウに白い実が実り垂れ下がっている。葉の細いツクバネガシ,カクレミノ,モチノキなどの常緑樹に,ニガキやハマクサギ,イイギリなどが点在している。のり面の岩から垂れ下がったノキシノブは先端が細長く伸びていて,ツクシノキシノブとの推定雑種ニセツクシノキシノブかもしれない。谷側に2mほどの常緑樹の灌木があり,中平氏がツゲモチではないかと指摘。近くにもう1本あり,標本用に確保する。ツゲモチは県内では中央部を除いて,東部と西部の山地に点在するが,普通なものではない。
 12時15分頃,林道が大きくカーブした地点から少し上がったところの日当りの良い場所で昼食。30分後にさらに奥へ歩を進める。サンゴジュやバリバリノキ,オオムラサキシキブなどを見て,13時に林道途中から引き返した。幹が縦に裂けたコジイは落雷によるものとのこと。ガンピやフデリンドウ(コバナ型)やニガキの若木,トキワガキなどを見ながら林道を下る。途中ツチトリモチも見られた。14時に作業小屋まで戻り,記念撮影をし,林道入り口を経て,下ノ加江から「道の駅なかとさ」で解散した。〔鴻上泰〕
ジュズネノキ
ジュズネノキ
ツチトリモチ
ツチトリモチ
ツルコウジ
ツルコウジ