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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

<お問い合わせ先>
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2018年3月11日(日)に第530回月例会(土佐市新居・須崎市浦ノ内)が行われました。

コイヌガラシ(撮影:山ノ内崇志)
コイヌガラシ(撮影:山ノ内崇志)
 午前9時に土佐市新居緑地公園の駐車場に集合しました。寒気が通り過ぎた後であり、遠く見える山並みは白く雪をかぶっている部分も見えました。風もやや強く、朝のうちは肌寒かったのですが、日差しに恵まれたおかげで歩いていると暑さを感じる陽気になりました。
 事前の案内では横浪半島としていましたが、いまひとつ見どころに乏しかったためまずは仁淀川の河口付近を散策することとしました。波介川の左岸側へ渡り、仁淀川河川敷の植生が疎らな工事中の裸地を観察しました。オランダミミナグサが多く見られたほか、やや湿った場所ではスカシタゴボウに交じってコイヌガラシが見られました。コイヌガラシは個体数が数十個体ほど。すこし離れた場所にはわずかながらミゾコウジュのロゼットも見られました。裸地を離れ、波介川の左岸堤防を上流の夢渡し橋まで行き、橋を渡って右岸側を戻りました。波介川の堤防は改修されてまだ年が浅く、植栽されたであろうシバや一年草のスズメノエンドウなどが目立ち、ススキやセイタカアワダチソウはそれほど優占していない様子でした。スズメノエンドウやカスマグサが咲き始めていたほか、セイヨウアブラナ、ハマダイコン、スミレ、ミヤコグサなどがちらほらと見られました。まだ春本番の一歩手前といった感じです。一部の方は別行動で須崎市宇佐の青龍寺方面へ足を延ばし、シダ類の観察をされたとのこと。
水草標本作成デモンストレーション(撮影:前田綾子)
水草標本作成デモンストレーション(撮影:前田綾子)
 11時半まで散策したのち、海岸で昼食をと考えましたが、人の出入りが多く落ち着かない様子であったため、土佐市宇佐町の竜の浜パーキングへと移動し昼食としました。ここで車を乗り合わせ、浦ノ内湾奥の東分・鳴無神社付近へ。ヨシがようやく芽吹きはじめた冬枯れの汽水湿地で、わずかに伸び始めたカワツルモを観察しました。一部の個体を採集して種子から発芽している様子などを観察し、レッドリスト調査の記録も兼ねて水草標本作成のデモンストレーションを行いました。最後に鳴無神社へ移動し、境内でツゲモチや高くまっすぐ仕立てたソテツなどを観察、ここで解散となりました。帰り道の横浪半島では早咲きのサクラが見え、海の色も心なしか鮮やかに成っているようでした。皆様おつかれさまでした。〔文:山ノ内崇志〕