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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

<お問い合わせ先>
TEL:090-7622-1257

2017年7月9日(日)に第522回月例会(安芸市畑山・安芸の川方面)が行われました。

 梅雨末期の気まぐれな天候が続き, 天気予報も当てにならないこの頃であった。この日も大雨雷雨などの予報が出ていたが, 朝は曇り空ながらまずまずの天気でほっとした。集合場所の芸西村和食琴ケ浜駐車場に19名の者が集まった。久々に顧問の山岡和興先生の姿もあり嬉しかった。9時になり, 担当者から観察地点, その順序など説明させていただき6台の車に分乗し出発した。
 安芸川に沿って上流に向かい, 栃ノ木部落を通過, やがて最初の観察地点である柳井瀬に着いた。道路脇に車を置き、観察を開始した。ここではヤナギイノコヅチやヤマウコギ,キジョラン, サツマスゲなどを見ることができた。道ぶちにはシラユキゲシなども群生していた。ここでは1時間弱ほどの観察をした。そして, 更に安芸川に沿って上流に向かい, 安芸の川方面への谷に入った。そして, 聖神社という神社の近くの道路に車を置き, 観察を始めた。まず目に入ってきたのは林床に白く咲くミヤマトベラの花であった。丁度の花期で, よい被写体であった。果実もついていた。神社への階段には, ハルノタムラソウやイナモリソウ, キッコウハグマなどが点々とあった。境内には立派な杉の巨木が2本あった。八坂神社の夫婦杉と呼ばれているもので, 県下でもトップクラスの巨杉であった。幹周の大きさもさることながら, スラリと伸びた幹は相当の高さで50mほどもありそうだった。杉に着生している植物を観察しようとして双眼鏡で覗いたがあまりにも高くて, 上部の様子はわからなかった。イチイガシの巨木もあった。境内の自然はとても魅力的なところで, 神社を囲むカシ類の枝にはイワヤナギシダなどが着生していて, 上部を見上げての観察はとても楽しいもので, いろいろな発見があった。神社下の谷にはタニジャコウソウの一群もあったり, ミヤマコナスビの花も咲いていた。
 次の観察場所は, 畑山への道路沿いの険しい崖であった。恐ろしいほどに垂直な山の岩肌に珍しいシダ植物などが観察できたし, タキユリが点々と見られた。
 12時も少しまわり, いよいよ最終観察地の畑山部落に向かった。まず水口神社に行った。そこの境内で, まずは腹ごしらえとなった。そこで, 先に畑山に着いていた高橋眞起さん達と合流することができた。神社のムカデランは県の天然記念物だが, はるか高いところに着生していて, 開花状況を確認したかったが, どうしても花を見つけることができなかった。一同少しがっかりしたが, 原因はどうも日当たりの悪さではないかと思った。その証拠に, すこし離れた人家の近くの木に着生していたムカデランには見事に満開の花がたくさんついていた。
 昼食後1時頃から, 部落奥の谷に向かって道路を歩いていった。道路沿いの山側の茂みにはホトトギスやハコネシダなど多くの種類の植物が繁茂していた。咲き残りのホタルブクロなども見かけた。ホドイモやコカモメヅルの花, シオデの蕾などもあった。ヒメヒオウギズイセンの一群が清流を背景に咲いている姿が非常に美しくちょっと感動した。1時間ほど歩いたが, 空模様が怪しくなってきたので, Uターンして畑山公民館の駐車場に戻った。そしてそのまま帰路についた。やがて雨がぽつぽつと降りだし, 芸西村あたりからは土砂降りとなった。琴ケ浜駐車場には3時頃帰り着いたが, 雨は止まず, 土砂降りの中で車代を精算し, 解散式を簡単に済ませ散会した。
 幸い観察中は雨にも会わず安芸市の奥座敷である畑山方面の自然を満喫できた観察会であったが, 一部の人数がはぐれてしまって残念な思いをさせてしまったことは , 担当者の徹底が不十分であったと反省しております。以後の教訓に生かしたいと思います。〔文:宇田 写真:福原〕
ヤナギイノコヅチ
ヤナギイノコヅチ
ミヤマトベラ
ミヤマトベラ
ムカデラン
ムカデラン