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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

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2016年2月14日(日)に第505回月例会(須崎市朴ノ川山)が行われました.

 春一番が吹き荒れ大雨大風の翌日は,一転して穏やかな好天となり,まるで春本番を思わせるような暖かさの中での月例会となりました。まず,第一集合場所の県立美術館下グランド駐車場に担当者を含め4名の者が集合しました。そして8時30分に松本満夫号の車に全員が乗り,第二集合場所の「かわうその里須崎」に向けて高速道路経由で向かいました。9時10分に「かわうその里」に着きました。ここではすでに11名の方が集まっていましたので,総勢15名となりました。ここで,山岡和興顧問のお話、担当者からの簡単な説明の後,4台の車に乗り合わせ,新庄川に沿う道を一路朴ノ川山へと向かいました。そして国有林入口のゲート前まで行き,車はそこに置き,依包川に沿う林道を上流に向かって観察を始めました。時期が時期だけに開花した植物はほとんど皆無でしたが,みずみずしいフキノトウがたくさん出ていて嬉しくなりました。
 この道沿いでまず目をひいたものは,まるで地面に立てた棒のようにニョキニョキと生えているオオアブラギリの幼木でした。先端に新芽をつけ,一本の緑の棒のように突っ立っている姿はまるで人が意図的に立てた人工の棒のように見えびっくりしました。オオアブラギリの大きな成木の根元には黒くなっていましたがオオアブラギリの大きな果実がたくさん落ちていました。見上げると枝にもまだ落ち残りの実がいくつもぶら下がっていました。この実は案外発芽率がよくて,棒のような幼木がたくさんはえてくるのだなと納得しました。またカギカズラの幼木が非常に多いところでもありました。
 さらにこの渓谷は空中湿度が非常に高くて,シダ植物には好適の環境なのか,ウツギやアオガシなどの木の表面がコケ等に覆われ,そこにすくすくと育った大きなツクシノキシノブが生えている光景をたくさん見かけました。もちろん他のシダ植物も豊富で後記の目録の通りです。この地域は希少なシダも多く見つかっていて昔からシダの宝庫として注目されてきたところです。この日もかつてここで採集された記録のあるカネコシダはないものかと探しましたがそれは見つかりませんでした。ナガバジュズネノキやミヤトベラ、ミヤマウズラなども見つけることができました。
 帰途,名瀑「樽ノ滝」に立ち寄りました。滝は昨日の雨の効果で水量豊かでいつにもまして見事な姿を見せていました。滝とその周辺の植物の観察を終わったところで散会しました。今回は,香川県や徳島県の方も多く参加されていて,いろいろと情報交換もでき楽しく有意義な観察会となりました。参加の皆様お疲れ様でした。今年初めての観察会でしたが,この一年,後々の会も楽しく有意義なものであってほしいと願ったことでした。(文・写真 宇田)
オオアブラギリの幼木の新芽
オオアブラギリの幼木の新芽
枝に残るオオアブラギリの果実
枝に残るオオアブラギリの果実
アリドオシの果実
アリドオシの果実