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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

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2015年11月8日(日)に第502回月例会(四万十町興津)が行われました.

タイキンギク
タイキンギク
 9時に県立美術館に集合・出発し,次の集合場所であるあぐり窪川に向かった。すでに多くメンバーが到着しており,今回の例会の世話役になっていただいた池田さん,中平謙一さんの他,徳島から片山ご夫妻,愛媛から兵頭さん,広島からは高杉ご夫妻の参加があり,盛況の例会となりそうだ。今日の予定の説明がされた後,早速車に乗り込み興津に向かった。ここからは車の台数が一気に増え,車12台になった。
 興津に下りる県道25号線興津窪川線沿いでは,タイキンギクやノジギク?,シロヨメナなど秋咲きのキクが花盛りで,秋の山路に彩りをそえていた。池田さんの案内で美しいマツザカシダがあるという興津の奥の谷に入り,ため池までの農道沿いを観察しながら歩いた。終点の池から帰る途中,兵頭さんの口から聞き慣れない植物名が出た。スギ植林の林床に生えているものを指して,あれはモトマチハナワラビだとのこと。モトマチハナワラビはまだ未発表の種で,兵頭さんのお話によるとオオハナワラビに比べ,葉の裂片の幅が狭くなるそうだ。ちょうど,すぐ近くにオオハナワラビと一緒に生えている所があったので,見比べてみると,確かに葉幅が狭いように見える。教えてもらったら分かるが,自分でこれを見つけられるかは全く自身がない。モトマチハナワラビのショックが抜けないうちに,エゴマと思って行きすがら見過ごしていたものが,高杉さんにこれはセトエゴマだと教えて頂き,ダブルショックを受けた。セトエゴマは県内では山間部でしか標本が採集されていなかったので,これからは海岸部までシソ属を注意深く観察しなければならないと感じた。やがて,朝から降っていた雨もお昼前にはあがり,歩いていると汗ばむぐらいの上天気になった。
モトマチハナワラビ
モトマチハナワラビ
 その後,キイレツチトリモチの発見者である伴ノ内珠喜氏と合流し,海を眺めながら昼食をとった。防風林の下はノジギクが咲き,浜ではハマニガナが可愛らしい花を咲かせていた。浜は風が強かったが,晴れていたので,寒くはなかった。
 ここのキイレツチトリモチは窪川町によって柵が設置されており,この日は伴ノ内さんに鍵を開けてもらい,中を見せてもらった。柵の入り口には,観察がしやすいよう,木道が設置されていた。順番に写真を撮影したり,ルーペでじっくり観察した後は,各々座って談話したり,前の浜の植物を観察したりした。依光さんが,ハマゴウに絡みつくネナシカズラの仲間を見つけ,これは“アメリカ”か“ハマ”かと高知県勢で悩んでいると,高杉さんがこれは萼筒に翼があるからハマネナシカズラだと同定して下さった。高知県ではハマネナシカズラは中部の2カ所の浜でしか現在確認されていない希少種だ。そうとなると,皆が一斉に見に向かう。最後に,伴ノ内さんに発見の経緯をお話いただき,お礼を言って,数神の湿地に向かった。ここは池田さんが中心になって保護活動をしている地である。普段はなかなか立ち入ることが出来ない所だが,今回は池田さんのご好意で入らせて頂いた。ここでは,他ではなかなか見ることが出来ない植物を見せて頂いた。
 今回の例会は,県外の方にいろいろとご教示いただき,大変勉強になった会となりました。また,今回の例会の設定で色々とご相談にのって頂き,現地案内までして頂いた池田さんにこの場を持ちまして改めてお礼を申し上げます。(文:田邊由紀 写真:鴻上泰)
セトエゴマ
セトエゴマ
ハマニガナ
ハマニガナ
ハマネナシカズラ
ハマネナシカズラ
キイレツチトリモチ
キイレツチトリモチ