menu

The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

<お問い合わせ先>
TEL:090-7622-1257

2015年10月11日(日)に第501回月例会(土佐清水市足摺岬白皇山)が行われました.

 7時前に県立美術館下グラウンドに5名が集まり,一台に乗り合わせ次の集合場所に向かった。他の高知組は直接ビオス大方のほうに行ったようだ。9時40分頃,ビオス大方に着くと,ほとんどのメンバーがすでに到着していた。その後,途中宿毛・中村からの参加者や榎さんとが合流し,足摺岬に向かった。足摺スカイラインの車道沿いには,ヤマヒヨドリ?(ヒヨドリバナも混ざっていたかも)が満開で,蜜を吸いにアサギマダラが訪れていた。
 さて,今回の例会の目的はキリシマシャクジョウである。1969年に武井近三郎先生が足摺岬の常緑林内で発見し,その後は確認されていなかったが,2012年に県中部で新たに見つかったことから,足摺岬でも再確認されることが期待されていた。今回の例会は多くの目で探すことにより見つかることを期待して設定されたものだ。先月末(9月末),記録があった場所に下見に行った時に,田城松幸さんが林に入って何十歩も歩かないうちに見つけられた。探し出してからあまりにも早く言うものだから,てっきり冗談で言っているのかと思いながらそばにいくと,本当にキリシマシャクジョウがそこにあって驚いた。その後,下の斜面でたくさん見つかり,今回の例会ではそこをみんなで観察した。生育地はシイ・カシ林の常緑樹林林床でイノシシの堀り返した跡があちこちにあったが,キリシマシャクジョウはなんとか無事であった。下見で花が咲いていた個体は,茶色くなって終わりかかっていたが,まだこれから花を咲かせる個体もあり,観察するのには十分であった。思い思いに写真を撮ったり観察したりし,気づくともうお昼になっていた。気がすんだ人から上にあがり,道路際にお弁当をひろげて昼食タイムとなった。道路にはアカガシのどんぐりがたくさん落ちていて,実りの秋を感じた。
 昼食後に移動し,白皇山登山口近くの空き地に車を停め,準備していると,榎さんがすぐに枯れ葉に覆われたカゲロウラン?を見つけた。なんとも目がいいものだ。ここには地生のマツバランもあった。白皇山はヤッコソウで有名な地だが,10月の中旬にさしかかった今回の例会では,まだ出始めであった。今年の開花個体のほかにも,黒褐色になった去年の個体が多く残っていた。ここでもキリシマシャクジョウがないか目を凝らして探したが,見つけることはできなかった。他に特筆すべきものとして,林床にはカゲロウランあるいはヤクシマアカシュスラン,ナギランがあった。地表も注意してみないといけないが,この山は樹上も気になる。望遠鏡で熱心に探していた前田さんが,タブノキに着いていたオオバヨウラクランをいくつも見つけていた。足摺ならではの植物を堪能した後,15時30頃に駐車場で解散し,一部の有志で窪津港近くのオオカラスウリの実を観察して帰った。(文:田邊由紀 写真:鴻上泰)
キリシマシャクジョウ
キリシマシャクジョウ
ヤマヒヨドリ
ヤマヒヨドリ
カゲロウラン
カゲロウラン
ヤッコソウつぼみ
ヤッコソウつぼみ