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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

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2014年12月14日(日)に第491回月例会(安芸郡北川村矢筈谷影地林道・安倉グドウジ山林道)が開催されました.

 ごめんなはり線球場前駅に松本から参加の藤田氏,新入会の高知大学農学部の粂川氏と同じく農学部の学生藤本さんはじめ16名が集合.私たちはこのところの寒さがこたえているのだが,信州の藤田氏には日差しがあるだけでも暖かいということであった.
 予定通り8時30分に5台の車に分乗して駅を出発し,奈半利から493号線を東洋町方面へ向かった.今年の豪雨により北川村内の道路は寸断され,特に小島や平鍋では大規模な崩壊の跡が今も生々しい.
 10時頃に四郎ヶ野峠手前の影地林道入り口に到着し,早速観察を始める.ゲートを過ぎると直に事業所跡らしい広場があり,周囲は葉を落としたアカメガシワの並木.谷を渡ると岩場にヌリトラノオやオオフジシダなどがあるが,谷そのものは荒れていて,岩場も乾燥気味であった.ほとんど植林であるが,中にツガ主体の林がわずかに残っていたが,林内はシカの食害により草本類は貧弱で,小さなツチトリモチが生えていた.林縁や林道沿いにはシカの嫌うコバノイシカグマとマツカゼソウばかりが目につく.植林地の谷筋に数本のヒロハノミミズバイが生えていた.日影の谷には小さな氷柱が下がっている.しばらく林道を行くが特に注目すべきものはなく,次第に谷を離れていくので途中から引き返した.ところが,林道の入り口付近のザレた斜面で,谷本氏と藤田氏がナガサキシダを見つけていた.1株ではあったが,なかなか高知市から東では見つからなかったものの一つで,本日第一の成果であった.30数年ほど前私が田野の林業事務所に勤務していたころに,安田町の山中で1株見たことがあったが,標本を採らなかったので幻の記録となったままの植物である.付近を捜したが結局この1株のみであった.この植物は東部ではこのように1株づつ点在しているようで,行き当たるのはとても難しそうである.ほかにホオノカワシダなども確認され,シダは意外と多くの種類が見られた.
 12時に四郎ヶ野峠近くの陽だまりで昼食をとり,そこから引き返して,13時に安倉集落近くの具同字山林道入り口に車を置いて,林道を歩くことにした.入り口すぐにマルバノホロシとハダカホオズキとが並んでよく似た赤い果実を着けていた.林道縁にはフユイチゴの果実も多い.林道の法面岩場はホソバコケシノブなどが一面に覆っている.影地林道もそうであったが,ウンゼンツツジがとても多いので,花時を見てみたいと思った.所々に対岸歩道との札があったので,対岸にも渡ってみたが,歩道はとぎれとぎれで結局見るべきものはなかった.それでもシダではホオノカワシダのよい株が見つかったし,ツクシノキシノブの雑種ニセツクシノキシノブが確認できた.1時間ほどして,林道を引き返し,15時に林道入り口で解散した.(文・写真:鴻上泰)
ツララ
ツララ
ツチトリモチ
ツチトリモチ
ナガサキシダ
ナガサキシダ
ホオノカワシダ
ホオノカワシダ
ベニシュスラン
ベニシュスラン
マルバノホロシ
マルバノホロシ