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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

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2014年8月17日(日)に第487回月例会(梼原町松原久保谷セラピーロード)が行われました.

 台風11号による悪天候のため,延期していた月例会であった.この日も俄雨など心配されたが,参加者全員の日頃の行いが余程良かったのか,曇り空も次第に晴れ,上等の晴天となった一日であった.参加者は8時に「かわうその里須崎」に集合した.そして新庄川に沿って旧葉山村を通り檮原町太郎川公園に向かった.ここで長野県からおいでた藤田さんとも合流し総勢15名の観察会となった.9時半頃,檮原町松原の郵便局横の広場に着いた.
ここから,久保谷セラピーロードは始まる.まず国道からの長い階段を上った.上りきると,そこから水路沿いの道が3kmに渡って続いていた.このセラピーロードは殆ど平坦な道で非常に歩きやすく,しかも豊富な樹種に恵まれた森林の中の道で,道に沿って立派な水路が造られていて,清らかな水がとうとうと流れている非常に涼しい環境のまさにセラピー効果が期待される快適なロードであった.しかも,ロードのすぐ下は久保谷川渓谷で四万十川源流域の水がとうとうと流れている絶景を眺めながらの道であった.林の中は適度に木漏れ日があり,水路沿いには今が満開のイワタバコが清らかに咲き誇っていた.またスダレギボウシの白い花やミヤマウズラのかわいい花も観察できた.実の付いたケケンポナシの枝やノグルミの実なども落ちていて興味をそそられた.また,道の所々には工夫されたネーミングのポイント表示もあり,散策がより楽しくなるように配慮されていた.林床にはそれほど豊かに植物が茂っているわけではないが,種類は結構多く,特にシダや樹木の勉強にはうってつけのコースかなと思った.シダ以外の草本植物も カシワバハグマが点々とあったり,サツマイナモリやイナモリソウなども多く,細かく観察していけば小さい個体の多くのものを見つけることができた.マメザヤタケなどの菌類も観察できた.ケヤキの珍芸は1本のケヤキの大木の幹と幹が上部でくっつきのぞき窓の様な部分を形作っているという珍しいものであった.本当に飽きることのない素晴らしいセラピーロードとなっていた.ちなみにこの水路は100年も昔から設置されている大切な用水路で,山間部の水田を潤している.険しい渓谷の林の中腹部にこのような立派な水路を造り,それを100年にもわたり大切に維持管理されてきた松原の人々の農業にかける厚い思いが伝わってきて感慨深いものがあった.この水路は農業文化遺産になっているとのことであった.
イワタバコ
イワタバコ
3kmの水路の道を行き詰めたところは川の堰堤となっていた.折からの増水で堤のうえは越流していたが,一行は慎重に渡河できた.帰りは道路沿いの道を暑い日差しに照らされながら帰った.二時半頃には帰路についたが,途中大奈路のオオクサボタンの自生地に寄ったり,最近できた轟公園のヤイロ鳥の館に寄ったりしながら有意義な時間を過ごしながら帰ることができた.
 延期された上,実施できた観察会であったが良い天気にも恵まれ,セラピーロードでセラピーもされ,心身共にリフレッシュできた一日ではなかったかと,担当者としては自己満足した次第であります.皆様お疲れ様でした.(文:宇田英一 写真:鴻上泰)
ハカタシダ
ハカタシダ
カシワバハグマ
カシワバハグマ
緑陰で昼食
緑陰で昼食
ヤナギシラカシ
ヤナギシラカシ
ケヤキの窓木
ケヤキの窓木
堰を渡る
堰を渡る