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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

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2013年7月14日(日)第474回月例会(安芸市上尾川番蔵山)が開催されました.

 心配された天気も梅雨明けが早かったおかげで,まずまずの天候のもとに行えた月例会であった.午前8時30分までに集合場所の安芸市営球場下の駐車場に18名の参加者が集まった.そして8時40分,7台の車に分乗して出発した.安芸川沿いに上流に向かい安芸市上尾川をめざした.上尾川には9時に到着し,最奥部落の橋のたもとに車を置き,すぐ林道を番蔵山の大ケヤキをめざして歩き始めた.林道の状態が心配されたが,下見のときよりも随分よく整備されていて歩きやすかった.最初のうちの主な観察対象はシダ類であった.思ったより多くの種類のシダが観察できた.道は歩きやすかったが,大ケヤキまでは随分遠い.行けども行けども目的地はなかなか近づかなかった.しかし,畑山方面への道と大ケヤキへの道の分岐点附近で嬉しい出会いが待っていた.道沿いの林床にムカゴサイシン(下左:撮影堀内)が点々とかなりの個体数で生育している場所を見つけることができた.もちろん開花時期はとっくに過ぎていたが,キッコウハグマに似たかわいい葉をそこにもここにもかなりの範囲でみることができた.やはり大勢の目でじっくりゆっくり観察することが大切だと実感した.ここまでは参加者全員が到達できたが,目指す大ケヤキへはまだまだ遠い.この辺りから残念ながら引き返す方もおいでた.先導者もこんなに遠かったのかと不安になりながらもさらに上へ上へと登って行った.そのとき,猪野さんが歓声をあげた.「マヤラン,マヤラン」(下中,撮影佐々木)と.びっくりして地面をのぞくと,そこには美しいマヤランの花が数個咲いていた.それまでの疲れが吹っ飛ぶ思いで写真に撮った.そして,そこから更に数十分かかってやっと大ケヤキへの看板が出ている分岐点にたどり着いた.が,グループは先頭グループと後続グループとが随分離れてしまっていたので,後続の方々を待つため,また時刻も丁度正午を過ぎていたので先頭グループはそこで昼食をとった.ところがその場所はとんでもない危険な場所であったことが直後にわかって身震いした.なんと,すぐ後ろの背中側の山の斜面の日当たりのよいところで,カンアオイの葉によりそうように,大きなマムシ(下右,撮影宇田)がとぐろを巻いて昼寝をしていたのだ.お弁当を食べている人のすぐ後ろで.松本氏は昼食後,そのカンアオイを見つけて,マムシには全く気が付かずに,カンアオイの葉をかきわけて観察しようとした.そしてマムシに一瞬触れて,その時ハッと気が付き手を引いたそうだ.幸いマムシはお目覚めにならず危機一髪の難を逃れることができたが,私はそのすぐそばに居て身の縮む思いであった.「上尾川はマムシが多いところだから気を付けて」と地元の知り合いに注意されていた言葉が身にしみて思い出された.ちなみにこの日はマムシ以外にも(マムシは2回),ヤマカガシ(多分間違いない)を2回,大きなシマヘビも1回とヘビ嫌いの方には卒倒しそうな出会いがあった.クワバラ,クワバラ.しばらくは夢にも見そうな一日となった.
 そのうち,後続グループも合流し,疲れた足をなおもふるいたたせ,大ケヤキへと向かい,やっとの思いで大ケヤキとのご対面を果たすことができた.登り始めてすでに3時間半ほどもたっていた.私にとって2年振りに再会した大ケヤキには根本近くの幹にヒトヨタケ科のキノコが幹の表面を覆い尽くすかのように群生していたので,ただでさえ根本の樹幹に巨大な空洞のできているこの県下一の樹齢1000年と言われている大ケヤキも,もう余命いくばくかも知れないと考えた.
帰りは,雷鳴の轟く中をたんたんと林道を下った.同じ道を往復しても行きと帰りでは見えるものに随分違いがある.往路で気づかなかったが,立派なツチアケビの花や果実をつけた大きなヨコグラノキなども見つけることができた.帰りは約1時間半ほどで車のところまで帰ることができた.そこでギブアップ組の方とも合流し3時に現地解散し帰路についた.
 湿度も温度も高い中での長時間の山登りという過酷な観察会であったが,良くも悪くも思わぬ出会いが次々に起こった印象深い月例会となりました.また今回は長野県から藤田さん,大阪市から齊藤さんという若手の専門家も参加して下さり,高知の植物相の違いがとてつもなく大きいことに気づかされ,そのことで普段見慣れている植物も妙に新鮮に見えた一日ともなり,非常に有意義な情報交換の機会ともなり嬉しい限りでした.
植物名:ケヤキの巨木 撮影:佐々木英男
植物名:ケヤキの巨木 撮影:佐々木英男
植物名マツザカシダ 撮影:佐々木英男
植物名マツザカシダ 撮影:佐々木英男
植物名:ツチアケビ 撮影:佐々木英男
植物名:ツチアケビ 撮影:佐々木英男
植物名:コクラン 撮影:佐々木英男
植物名:コクラン 撮影:佐々木英男
植物名:リョウブ 撮影:佐々木英男
植物名:リョウブ 撮影:佐々木英男
植物名:コクラン2 撮 影:堀内和美
植物名:コクラン2 撮 影:堀内和美
植物名:シシラン 撮 影:山岡和興
植物名:シシラン 撮 影:山岡和興
落石寸前の石 撮 影:山岡和興
落石寸前の石 撮 影:山岡和興
イスノキ_山岡和興
イスノキ_山岡和興
ノコギリシダ_山岡和興
ノコギリシダ_山岡和興
イワタバコ山岡和興
イワタバコ山岡和興
マツザカシダ_山岡和興
マツザカシダ_山岡和興
クルマシダ_山岡和興
クルマシダ_山岡和興
カタヒバ_山岡和興
カタヒバ_山岡和興
バリバリノキ_山岡和興
バリバリノキ_山岡和興
ケヤキの巨木_宇田英一
ケヤキの巨木_宇田英一