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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

<お問い合わせ先>
TEL:090-7622-1257

2013年5月12日(日)第472回月例会(高岡郡四万十町)が開催されました.

抜けるような青空のもと,8時45分,中土佐町久礼ふるさと海岸青柳祐介石像附近の駐車場に18名の参加者が集まった.担当の稲垣さんから今日の予定の説明を受けた後,少し車を減じて志和を目指して出発した.約30分で着き,杉林の中に群生しているガンゼキランを観察した.まだ開花には少し間があったが,たくさんの蕾が今にも咲きそうに木漏れ日の中で輝いていた.それにしても見事な大群落であった.いつまでも大切に現状維持がなされてほしいと願った.群生地までの道沿いにはハマキイチゴ(モミジイチゴ×ハチジョウイチゴ)が実を付けていたり,純白のガクウツギの花も多かった.ガンゼキラン観察後はかつて牧野富太郎博士が歩いたという道を登って山上の道路に出た.途中の杉林にはシコクナベワリ(?)の花も咲いていた.チマキザサもあった.樹木ではコバンモチの花も観察できた.
ヒメユズリハの花
ヒメユズリハの花
そして,次の観察地に車で移動した.志和から少し山中に入り,やがて切り立った海岸の上の道路に出た.その道は小鶴津という集落に向かう道だが,道路は損壊のため途中で車両通行止めになっていたので,その手前に車を置き,そこから小鶴津方面に向かって歩いて観察を開始したが,この道路沿いは実によい自然が残っていて多彩な植物の歓迎を受けることができた.イイギリの花序に見とれたり,シマサルナシやサカキカズラの花に夢中になったり,モミジイチゴの黄色い果実やオオバライチゴの真っ赤な果実をほおばったりもした.またイヨカズラの花も見事に咲いていたし,いたるところにマルバウツギの花も見かけた.ホウロクイチゴやギンレイカの花,ハマクサギ,ハマセンダンなども観察できた.春の花が一段落したこの時期,注意深く観察すると多くの樹木の花にもであうことができるのがこの時期のいいところである,樹木の花は地味なものも多いが,それだけに初めての出会いもあり楽しいものである.
やがて小鶴津の浜に着き,ここで昼食をとった.ハマエンドウやハマヒルガオの花がたくさん咲いていた.昼食後は近くの林の中にあるお宮の附近を観察した.ここでもシコクナベワリと思われる花を見ることができた.ハランの花も観察できた.そして,小鶴津の民家周辺を歩いた.バリバリノキやホウライカズラの花(まだ蕾であったが),ヒナギキョウの花もあった.民家の前にはかなりの面積の耕作放棄地が広がっていた.もったいなさと寂しさを感じた.この附近は一昔前,原子力発電所が建設されようとした所である.農業も廃れ寂しい陸の孤島のような場所だが,原発はできなくて本当に良かったと思う.何かあったら原発は本当に失う物が大きすぎる.断崖の上の道路から,汚れを知らない美しい海とくだける波,青い空とその中にとけ込んだ美しい岬の風景を眺めていると,この自然はお金でははかることのできない貴重な宝だとつくづく思った. 車まで戻っての帰り道,シロヤマシダの大群生地を観察した.
5月の薫風の中,好天に恵まれ多くの植物に出会えた今日の月例会,まさに至福の一時であった.原発騒動ゆかりの地で「自然は本当にすばらしいし貴重である」を改めて実感した一日ともなった.15時30分に解散し帰途についた. (宇田英一)
場 所:紺碧の海(志和~小鶴津) 撮影:佐々木英男
場 所:紺碧の海(志和~小鶴津) 撮影:佐々木英男
植物名:イイギリの花 撮影:佐々木英男
植物名:イイギリの花 撮影:佐々木英男
植物名:サカキカズラの花 撮影:佐々木英男
植物名:サカキカズラの花 撮影:佐々木英男
植物名:ハマクサギの花 撮影:佐々木英男
植物名:ハマクサギの花 撮影:佐々木英男
植物名:イヨカズラの花 撮影:佐々木英男
植物名:イヨカズラの花 撮影:佐々木英男
植物名:オオバライチゴ 撮影:佐々木英男
植物名:オオバライチゴ 撮影:佐々木英男
植物名:キリの花 撮影:佐々木英男
植物名:キリの花 撮影:佐々木英男
植物名:トベラの花 撮影:佐々木英男
植物名:トベラの花 撮影:佐々木英男