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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

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TEL:090-7622-1257

2012年9月9日(日)第464回月例会(堂ヶ森・・・四万十市)が開催されました.

 不安定な天候の中,9時にビオスおおがたを,9時30分には中村からの参加者も加わって総勢21名が8台の車に分乗し,サンリバー四万十を出発した.四万十川ウルトラマラソンのコースにもなる県道332号線(昭和中村線)を走り,竹屋敷宮の下で左折し掃除谷林道に入る.
 今年の夏は雨が多く,そのためか落石が多かったが車の走行に支障はなく,無事10時45分,堂が森登山口の駐車場に到着した.

 この頃から雨が降り始め全員雨具の準備をして登山を開始する.本日の観察コースは,旧中村市,西土佐村,十和村の中央に位置する標高856.9mの堂が森山頂に至る登山道周辺.山頂には堂が森地蔵堂があり,毎年ふもとの三地区から集まった人達で地蔵堂祭りがおこなわれ,女相撲が奉納されることで有名である.林内の登山道に入ったとたん,雨あしが激しくなった.常緑広葉樹がそのほとんどを占める林内は薄暗く,落ち葉に足を滑らせながらも,登山道脇に咲くチャボホトトギス(上左,撮影:山岡(重))の花に励まされて歩く.やがて「堂が森まで800m」の標柱付近で,昨年鴻上さんによって発見されたコオロギラン(上右,撮影:山岡(重))を今年も確認することができた.牧野富太郎博士ゆかりの横倉山ではスギの落ち葉の間に生育しているが,ここでは周辺には全くスギは無くほとんどがウラジロガシ,シロダモ,アカガシ,ヤブニッケイ,ハイノキ,アセビ,シキミ,ヒサカキなどの常緑広葉樹である.登るにしたがってヒメノヤガラが数ヶ所で十個体ちかく観察された.他にシノノメソウではないか?と思われるものが2個体あったが,非常に小さくて確かな同定は難しかった.下草がほとんど生えていない登山道周辺の林床では,見るべきものは殆ど無かった.
 山頂の地蔵堂には正午に到着.参拝ののちお堂の軒下をお借りしたり,境内のベンチに腰かけたり,スギの木の下で傘をひろげたままと,てんでに雨の中で弁当を食べた.足元にはスズコウジュ,ウリクサ,ナガサキオトギリ,シュスラン,マツカゼソウなどの小さな花が咲いていて,ひととき心を和ませてくれた.カーペットのように広がったヒメチドメの明るい緑色も印象的であった.非常に小型のチヂミザサがあり,以前黒尊で一度だけ見たチャボチヂミザサに似ていたので,一株採集する.
昼食後,お堂から数十m離れた三角点まで移動.案内板に「二等辺三角点」と書かれており,皆の笑いを誘った.女相撲といい,三角点といい,堂が森はなかなかユーモアあふれる山である.
 天気の回復ものぞめず,早々に下山.イワヒメワラビの群生する駐車場で,13時30分現地解散した.帰路は二組にわかれ,大半はもと来た掃除谷林道を,私達は西土佐藤の川集落におりる藤の川林道を帰った.藤の川林道のほうが道幅がやや広く路面も良く,落石も少なく,なによりも道中が明るかった.藤の川集落には14時30分に到着した.途中明るいクヌギ林では鹿4頭,林道を横切るヤマドリ2羽も見た.鹿のいた林にはフタリシズカやマツカゼソウがやけに多く,他の植物があまり見られなかった.駐車場付近では外来種のダンドボロギクが目立ったし,以前見かけたオタカラコウは今回見る事ができなかった.鹿の食害や,アンテナの設置など人間の手が入ったことによって,植生に変化が起きていることを感じた堂が森での例会であった.    ( 田城光子)

植物名:シュスラン 撮影者:山岡重隆
植物名:シュスラン 撮影者:山岡重隆
植物名:イワヒメワラビ 撮影者:山岡和興
植物名:イワヒメワラビ 撮影者:山岡和興
二等辺三角点:訂正 ⇒ 二等三角点 撮影者:山岡重隆
二等辺三角点:訂正 ⇒ 二等三角点 撮影者:山岡重隆
植物名:ギンリョウソウモドキ 撮影者:山岡重隆
植物名:ギンリョウソウモドキ 撮影者:山岡重隆
植物名:スズコウジュ 撮影者:山岡重隆
植物名:スズコウジュ 撮影者:山岡重隆
植物名:スダレギボウシ 撮影者:山岡重隆
植物名:スダレギボウシ 撮影者:山岡重隆
植物名:ヤマジオウ 撮影者:山岡重隆
植物名:ヤマジオウ 撮影者:山岡重隆
植物名:ヤマジノホトトギス 撮影者:山岡重隆
植物名:ヤマジノホトトギス 撮影者:山岡重隆
頂上のお堂 撮影:山岡(重)
頂上のお堂 撮影:山岡(重)
頂上の二等三角点 撮影:山岡(重)
頂上の二等三角点 撮影:山岡(重)
帰途,シカに出会う 撮影:山岡(和)
帰途,シカに出会う 撮影:山岡(和)
キノコ 撮影:山岡(重)
キノコ 撮影:山岡(重)