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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

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2011年2月13日(日) 第445回月例会(室戸市吉良川町西の川上流)が開催されました

 厳しい寒波が続く三連休の最終日となったが ,この日は気温も少し上向き,風もない穏やかな天候となった.8時30分,参加者は集合場所の安芸駅前に続々と集まってきた.はるばる香川県から4名の参加もあり,総勢31名という盛況ぶりであった.車の数も多かったので,そのうち2台を駐車場に置いたものの,結局12台ほどの車で,一路室戸市吉良川町をめざして出発した.落伍車もなく車は順調に走り,吉良川橋の西詰めを左折し,一旦,吉良川中学校前の道路に集結し,そこに更に2台の車を置き,残りの車で西ノ川の上流をめざして進んだ.釣の口・ 長者野等の部落を過ぎ,更に奥の畑古矢を進み,西ノ川最上流部の谷を目指した.畑古矢あたりには元水田とおぼしき土地はことごとくシキミが植えられていて,まるでシキミ谷とでも言ったらよさそうな景観であった.
 この日は2カ所の谷を観察したが,最初に入った谷は,林道のほぼ終点近くが,苔むした広い林道と広場になっていて,多数の車を置くには好都合であった.そして林道沿いや周辺の林の中を観察した.林の中は,大勢としてはスギやヒノキの高齢木で,下層にはシキミ,ヒイラギ,ヒサカキ,ホソバタブ,イズセンリョウ,サカキ,シロダモ,ヤブニッケイ,ソバノキ,ソヨゴ,ツルシキミなどの小低木が生育していた.林床はたいへん歩きやすく,気持ちよい観察ができた.立派な果実をつけたミヤマトベラ(写真 上),ヒロハノミミズバイ,堅いつぼみを含んだフデリンドウ,果実の残ったナツエビネ,ホウノカワシダなど高知県でもどちらかというと東部を特徴づける植物をたくさん観察することができ嬉しかった.またムギラン,アケボノシュスラン,ネジバナなども観察できた.また,林の中の岩場にコケがびっしりと生え,そこに上部から水がしたたり,一つ一つのコケに10cmくらいの長さのツララが無数にぶら下がり,それに木漏れ日が当たった光景は,しばし見る者に感動を与え,思わず歓声をあげてしまった.この時刻にここまで来た者だけが味わえる贅沢な自然のオブジェとの出合いであった.
二つ目の観察場所は,畑古矢の部落のすぐ上流の谷で,谷に沿った林道を上流に向かって1kmほど歩いた.川は土砂に埋まったところもあり,その分,広い河原ができていて気持ちの良い散策場所が随所にあった.オモトやネコノメソウ属sp,ツクシノキシノブ,イワヤナギシダ,花をつけたナンカイアオイ,ベニシュスラン,つぼみをつけたコショウノキ,ルリミノキ,ヤマモガシ,カギカズラなどを観察できた.道沿いにはウツギが多く,冬枯れた枝にひからびた実がたくさん付いていた.花期にはさぞ美しいウツギ街道になることだろうと想像して楽しんだ.ここでは約1時間半の時間を過ごし,2時半に車のところに引き返した.そこで谷本さんが採集されたシダの説明をして下さったので一同今日のおさらいをすることができた.そして,丁度3時に現地解散となった.
 2月という厳しい時期での観察会ではあったが,その割には見るべきものもあったのではなかったかと担当者としてはほっと胸をなでおろした一日であった.      ( 宇田英一)
ツクシノキシノブ(左)¸ノキシノブ(右)
ツクシノキシノブ(左)¸ノキシノブ(右)
オモト
オモト