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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

<お問い合わせ先>
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2022年12月4日(日)に第587回月例会(香南市野市町白岩洞(鬼ノ岩屋))が15名の参加で行われました。

 小雨の中9時にダイキ野市店の駐車場に14名が集合。本日の予定と今晩の忘年会のお知らせのあと,12台の車で三宝山トンネル方面へ出発。トンネルの東佐古側の路側の広いところに駐車。地元で会員外の谷山さんと合流して徒歩で鬼ノ岩屋を目指す。歩き始めてすぐ下は高野さんの畑で,今日も畑仕事に来ている。ハウスの横の農道下の畑にはヒロハフウリンホオズキが群落をつくっている。烏川にそって歩き10時頃に「香南市指定文化財・史跡鬼ノ岩屋洞穴」の看板を確認し山道に入る。畑には早くもホトケノザが満開,センリョウの実が目につき,石垣にはヒトツバや丈夫なコハシゴシダが着生,まだ色は薄いがフウトウカズラに実がつき,サネカズラの赤い実も良く目立つ。歩道は入り口こそアラカシ林だが,すぐに開花で枯れたマダケ林を抜けその先はスギ・ヒノキの人工林で,林床から樹幹にかけてフウトウカズラが繁殖しシロダモには花と赤い実がついている。道脇には奥の出水洞から水を引いている黒パイプが数本走っている。

コスミレ
コスミレ
シマカンギク
シマカンギク
ナンテン
ナンテン
バクチノキの未熟な果実
バクチノキの未熟な果実

 10時20分頃石灰の岩壁に到着。周囲はアラカシ林で,岸壁にはクライミングに来る人がいるらしく,ハーケンがささっている。岩壁の下を左に巻きながら急傾斜地を登ると,足元にはムヨウラン類のすでに種を飛ばした黒い茎がまとまって生えている。キジョランが多く生えており,まるい穴のあいた葉の後ろにはアサギマダラの幼虫が見られた。

 岩壁に沿って10分ほど登ると林の中にぽっかりと大きな穴をあけた洞窟が現れた。洞の入り口にはホルトノキの大木が立ちはだかっている。狭い入口には「香南市指定文化財 史跡 鬼ヶ岩屋洞穴」の看板が立ち,洞穴内は立ち入り禁止!と書いてある。入口から順番に中を覗き込む。洞の中には小さな祠が祭られて絵入りで『伝承「お妻が祠」跡の記』の看板がある。この洞窟は弥生人の住居跡でもあり,戦時中に日本陸軍の陣地でもあったそうだ。奥は塞がっていて行けない。洞の入り口から上を見上げるとギボウシの葉がたくさん着いている。下にある葉を見ると,葉脈が詰んでいて東部に見られるウナズキギボウシと思われるが,花を確認する必要がありそうである。洞窟の上部に登る途中にはきれいな斑の入ったマツザカシダが多く,黄色くなりはじめたヒトツバハギも点在する。

マツザカシダ
マツザカシダ
ヤマコウバシ
ヤマコウバシ
リュウノウギク
リュウノウギク
鬼の岩屋
鬼の岩屋

 11時ころに峠から洞上部の尾根に登る。石灰岩が露出したアラカシ林で,クスドイゲ,ナワシログミなどともに茶色い葉が残っているヤマコウバシや赤い実のついたナンテンが点在する。赤い葉のコマユミはシカの食害の跡があり,トキワガキにカキの実がついている。山頂からは木の間越しに下の集落が見える。

 11時30分頃に山頂近くの峠で昼食とする。11時50分,出発するころには雨がパラパラしだした。降りる道は登る途中に分かれ道のあった,北側の歩道を降りた。コクサギやサネカズラやタンキリマメに実がつき,クロバイや葉に鋸歯のないカナメモチなども見られ,植栽と思われるピンクの椿の花や白いサザンカの花が咲いている。

 12時40分頃集落に降りて烏川沿いに来た道を引き返す。白岩神社の小さな祠周辺を観察。後背地は石灰岩で,下部から出水し,クスドイゲやバクチノキ,アリドオシ,ヤブランなどに実がついている。傍らの畑に沿った道を上がると,早くもコスミレに花が咲き,ビワの花の香りが漂う。のり面にはシマカンギクとリュウノウギク,シロヨメナの花とバイカイカリソウの葉が確認できた。

 13時頃に駐車した場所に戻り解散。忘年会に参加する人はここから,中土佐町の黒潮本陣に向かった。〔鴻上泰〕

鬼の岩屋の下の岩壁
鬼の岩屋の下の岩壁
鬼の岩屋入り口
鬼の岩屋入り口
鬼の岩屋尾根の岩石地
鬼の岩屋尾根の岩石地
白岩神社の祠
白岩神社の祠